機能を持った塗料とは？

近年様々な機能を持った塗料が増えています。塗料は建物の美観や保護にとどまらず、住み心地や環境問題などにも影響を与える時代になったと言えます。今では塗料選びの際に、樹脂グレードや色艶に加えて機能についてのアドバイスも求められるようになってきています。提案の際は、同じ機能でも塗料メーカーによって付加する樹脂グレードに違いがあることに注意しましょう。

機能性のある塗料の種類

遮断性

太陽光の反射率を上げることで外壁材の温度の上昇を抑えるというものです。

室内温度の上昇も一般塗料に比べ2～３度程度下がるとされており、夏季の節電にも繋がります。

また、外壁は一般の塗料でも、屋根は遮熱にするという例も多いです。

断熱性

熱を伝わりにくくする塗料です。

断熱塗料を塗ることで外からの熱や冷気を室内に通しにくくするとともに、室内の温度を逃しにくくします。

そのため冬や寒い地域にも適しています。夏の温度は2～３度ほど下がるとされています。

ラジカル抑制

【ラジカル】とは、塗膜が紫外線などにさらされることにより、塗膜内の白色顔料から発生する劣化因子のことです。

このラジカルの発生を抑制して塗膜の劣化を防ごうという発想で開発されたのが「ラジカル抑制塗料」です。

メーカーによりアクリル樹脂とシリコン樹脂の違いがあります。

セルフクリーニング機能

汚れが雨で洗い流される防汚染性の機能です。

超微粒子シリカ(ガラスの微粒子)で汚れの付着を防ぎ、雨で流すという無機質的な性質を持つものや、

紫外線が当たると汚れが分解して浮き上がり、雨で流れるというメカニズムのもの(光触媒)があります。

透湿性

外部からの水の侵入を防ぐ防水塗料でありながら、内部の湿気は外に逃がす透湿性があります。

透湿性を持たない防水塗料の場合、内部からの湿気は塗膜の内側に溜まり、水膨れとなってしまうので注意が必要です。

他にも内部結露を防ぐ効果もあります。

防カビ・防藻性

カビや藻の発生を抑制する機能でカビや藻が付きやすく、気になるという現場に向いています。

菌が繁殖しにくい薬剤を混ぜていますが、人への安全性はメーカーで確認済みです。

耐候性が高い塗料には防カビ防藻機能が付いていることも多いです。

ツヤの有無の選び方

色付きの塗料でもクリヤー塗料でも光沢の有無を選択することができます。

但しフッ素樹脂にはツヤ無しがないため、特に和風住宅では注意が必要です。

ツヤの有無で仕上がりのイメージが変わるため、色を決めるときにはツヤについても検討しましょう。

メーカー品はツヤの程度により、『全ツヤ』『七分ツヤ』『5分ツヤ』『3分ツヤ』『ツヤ無し(マット)』を出しています。

微調整用のツヤ消し添加剤を混ぜて微調整することもできますが、耐久性が低下する心配があるので勧められません。

全ツヤ

ツヤがあるほど耐用年数が長く、比較的汚れが付きにくい点が大きなメリットです！選べる塗料も幅広く、ツヤ感で迷った場合は全ツヤにすることをオススメします。5分ツヤはベージュなどの白に近い色だと、マットとさほど差を感じなくなります。色サンプルを取り寄せるときはツヤの指定もして、イメージに合うものを選びましょう。

ツヤ無し

「マット」と呼ばれるのがツヤ無しです。和風住宅では一般的にツヤ無しが採用されます。耐久性はツヤがあるものに劣ります。油性にはツヤ無しが無く、3分ツヤまでなので注意しましょう。

ここに注意

ツヤは光が反射する角度により強弱の感じ方に違いが生じます。そのため同じ塗料でも平滑な面の方が凹凸面よりツヤ感が強く感じられるので注意しましょう！

塗料のツヤについてこちらのブログでも紹介していますので、チェックしてみてください☺

塗料のツヤ有、ツヤ無しどっちがいいの？

色付き塗料とクリアー塗料(透明)の選び方

塗料には合成樹脂に色を付けた塗料(エナメル)と、顔料を加えない透明のクリアー塗料に分類されます。色付きと同様にクリアー塗料にもアクリル系・ウレタン系・シリコン系・フッ素系・無機系があり、樹脂のグレードを選ぶことができます。

どんな場合にクリアーを使う？

サイディング外壁の色柄を残したいときにオススメです。

サイディングは色使いが多いため、一般的な色付塗料で1色にしてしまうと雰囲気が大分変ってしまいます。

クリアー塗料なら、色柄をそのままに、塗料で外壁を保護することができます。

クリアー塗料できない場合もある

塗膜の劣化が進んでいる場合は劣化を隠すことができないため、クリアー塗装が出来なくなります。

築7年以上経っている場合は注意が必要です。

シーリングの色に注意

シーリングに外壁の色からかけ離れた色を使うと目立つため注意が必要です。

例えば、濃い色のサイディングに白に近いシーリングを打つなどを行うと目立ってしまいます。

クリアー塗料はチョーキングがでない

チョーキングの正体である顔料が含まれていないため、塗膜が劣化してもチョーキング(白亜化現象)が起こりません。

水性塗料と油性塗料の選び方

塗料の樹脂グレードは付加機能が決まったら、次は「水性塗料」にするか「油性(溶剤刑)塗料」にするのかを決めましょう。この違いは、単純に言うと、水で薄める塗料(水性)か、シンナーなどの溶剤で薄める塗料(油性)かということです。さらに油性塗料は強シンナーで希釈するため臭いが強い「強溶剤刑」と臭いがマイルドなターペンという弱シンナーで希釈する「弱溶剤刑」に分けられます。どの樹脂グレードの塗料でも、色付き・クリアーを問わずに水性と油性の選択が可能です。しかし機能性を付加した塗料には水性しかないものもあるので確認しましょう。